口腔機能発達不全症

口腔機能発達不全症とは、18歳未満の子どもで生まれつきの障害がないにも関わらず、噛む、飲み込む、発音するなどお口の機能が十分に発達していない状態のことです。

特に成長期の子どもに多く見られ、早期発見と適切な治療が重要です。
口腔機能発達不全症の主な症状やチェックポイント、原因、放置した場合のリスク、治療方法についてご説明します。

 

口腔機能発達不全症の症状とチェックポイント

口腔機能発達不全症は、日常生活の中でいくつかのサインが見られることが多いです。
以下のような症状がある場合、口腔機能の発達が遅れている可能性があるため、早めにご相談ください。

見た目の向上
歯や口元が整うことで、笑顔がより美しく映えます。

噛む力が弱い
食べ物をうまく噛み砕けず、柔らかいものばかりを好む傾向がある。

食べるのに時間がかかる
食べ物を口の中で動かしにくく、飲み込むのにも時間がかかる。

食べ物を飲み込みにくい
舌の動きがうまく機能せず、飲み込みの動作がぎこちなくなる。

発音が不明瞭
特定の発音がしづらく、話すときに舌や唇がうまく使えていない。

唾液をうまく飲み込めない
唇や舌の筋肉が弱く、唾液が口から漏れやすいことがある。

これらの症状は、幼少期や小学生頃の子どもによく見られますが、早めに気付いて治療を行うことで、口腔機能の発達を正常に導くことができます。

 

口腔機能発達不全症の原因

口腔機能発達不全症の原因は、多岐にわたります。代表的な要因としては以下のようなものがあります。



不適切な生活習慣

長期間の指しゃぶり、舌で歯を押す癖（舌突出癖）なども、口腔機能の発達に影響を与えます。
これらの習慣が続くと、歯並びが乱れ、口腔機能の発達に遅れが出やすくなります。

食生活の変化

柔らかい食べ物や加工食品が多く、噛む力を鍛える機会が少ないと、口の周りの筋肉が発達しにくくなります。
乳幼児期からの食生活が口腔機能に影響を与えることも少なくありません。

遺伝的要因や全身の発達

口腔機能発達不全症は遺伝的な要素が影響している場合もあり、全身的な発育遅延の一環として現れることもあります。
例えば、筋力の発達や神経の発達がゆっくりな子どもは、口腔機能の発達にも遅れが見られることがあります。

 

放置することのリスク

口腔機能発達不全症を放置すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。



食事習慣の悪化

噛む力が弱いと、食べ物を細かく砕くことが難しくなるため、胃腸に負担がかかりやすく、栄養摂取にも支障が出る場合があります。
さらに、口腔機能の発達不足が原因で食事の時間が長引き、食事への興味が薄れることも少なくありません。

発音障害やコミュニケーションの遅れ

発音が不明瞭な場合、周囲の人とスムーズに意思疎通ができず、コミュニケーションに自信をなくしてしまうことがあります。
また、発音がしづらいことで話すことへの抵抗感が生まれ、成長期の子どもにとっては大きな影響を与えかねません。

歯並びの乱れ

口腔機能が正常に発達しないと、舌の使い方が不適切になり、歯並びに影響を与えることがあります。
これにより、噛み合わせが悪くなることで、将来的な矯正治療が必要になることも考えられます。

全身の健康への影響

口腔機能の未発達が原因で食事に偏りが出ると、栄養バランスが崩れ、成長期の子どもに必要な栄養が不足する恐れがあります。
口腔機能発達不全症は、口腔内だけでなく全身の成長や発育にも影響を及ぼす可能性があります。

 

口腔機能発達不全症の治療・改善方法

口腔機能発達不全症の治療には、生活習慣の改善や専門的なトレーニングが有効です。
治療や改善方法はお子さまの年齢や症状に合わせて行われます。



筋力トレーニング

口の周りの筋肉や舌の動きを鍛えるために、専門的な筋力トレーニングを行います。
たとえば、噛む練習や舌の動かし方のトレーニングを通じて、正しい動作を身に付けていきます。
これにより、食事や発音が改善され、口腔機能全体の発達が促進されます。

口腔機能に適した食事指導

柔らかい食事に偏らないよう、適度な硬さの食べ物を取り入れ、咀嚼力を鍛える食習慣を指導します。
適切な食事は口腔機能の発達にとって重要な役割を果たします。

生活習慣の見直し

指しゃぶりや舌で歯を押す癖がある場合、それを改善するための行動指導を行います。
日々の習慣を見直すことで、口腔機能の発達をサポートし、将来の歯並びや噛み合わせの問題も予防します。

矯正治療との併用

歯並びに影響が出ている場合は、矯正治療を併用して口腔内環境を整えます。
歯の位置を正しくすることで、舌や口腔周囲の筋肉の動きも正常に働きやすくなります。

 

口腔機能発達不全症は、日常の食生活や生活習慣が原因で発症することも多く、放置するとさまざまな健康リスクが生じます。
早期に適切な対応を取ることで、噛む力や発音、飲み込みなどの口腔機能が改善され、お子さまの健やかな成長を支えることができます。
当院では、口腔機能の発達に関するご相談を随時受け付けており、お子さまの症状や成長に合わせた最適なアドバイスを行っています。
口腔機能発達不全症が心配な方や、ご相談がある方は、ぜひお気軽に当院にお越しください。